NX Studioは無料なのにここまでRAW現像できるとは驚きました。私は有料のCapture Oneユーザーですが、無料でここまでNX Studioが使えるのであれば、これからRAW現像をしてみたいという方（ニコンユーザーのみですが）にはNX Studioはおすすめです。Capture OneとNX Studioを比較しながら感想をまとめましたので、ご参考いただければ幸いです。
NX Studioを使ってみた背景と経緯
RAW現像ソフトと言えばAdobeのLightroomが一番有名だと思います。肌感では9割くらいの人がLightroom、1割くらいの人がCapture Oneを使っているような気がします。私もRAW現像を始めた時はLightroomでした。その後、色味が良い&動作が軽いと評判だったCapture Oneを試したところ、色味の綺麗さに驚いてすぐに乗り換えました。Capture OneはRAWを読み込んだ時点で色が綺麗なんですよね。RAW現像ソフトによって描画エンジンの違いが結構出てくるものだと感心しました。
買い切りで買って以降、Capture Oneで楽しくRAW現像していますが、Capture Oneの唯一の不満点が実は買い切りとは言えないところです。Capture Oneは年々バージョンが更新されますが、買い切りで買ってもバージョンアップはできません。実はこれを知らず、買ってから実はバージョンは更新できないと知りました。バージョンアップしなければずっと使えるので、問題は無いと言えば問題ないですが、せっかくなら最新機能も使ってみたいと思いますよね。Davinci resolveは買い切りでバージョンアップも可能、本当の意味で買い切りです。Capture Oneも同じだと思っていましたが違いました。
前置きが長くなりましたが、Capture Oneは買い切りといいつつ買い切りとは言い切れないという点だけが喉元に刺さった小骨のように心に残っているので、ふと思い立ってNikon純正のRAW現像ソフト「NX Studio」を使ってみました。有料のCapture Oneを使っているので、無料の純正ソフトには正直あまり期待していませんでしたが、意外なほどCapture Oneに迫る色味の調整ができることを知りました。それではCapture Oneユーザー目線でNX Studioを使ってみたので、比較と感想をご覧くださいませ。
NX Studioは色調整が細かくできる
NX Studioのフレキシブルカラーピクチャーコントロールを使えば、Capture Oneとほぼ同じぐらい細かい色調整が可能です。コントラスト、ハイライト、シャドー、白レベル（ホワイト）、黒レベル（ブラック）、彩度など、基本的な色調整も当然NX Studioでもできます。
Capture Oneのカラーエディター、カラーバランスに相当する機能が、NX Studioではカラーブレンダー、カラーグレーディングになります。Capture Oneは色味を細かく調整できると評判が高いですが、これがまさにカラーエディター、カラーバランスの機能で、それとほぼ同じ機能が無料なのにNX Studioで使えるのは驚きました。カラーエディターでは各色の彩度や明度、色相などを変えられるので、細かな色調整ができます。ちなみに個人的には色の深みを出したいときに明度を下げています。
カラーグレーディングは動画編集で馴染み深いやり方ですが、ハイライト、中間調、シャドーで色をわざと転ばせる機能です。シャドーに緑系、ハイライトに赤系を入れるとフィルムルックになったりします。
NX Studioのプリセット（イメージングレシピ）は期待できる
NX Studioを使えば撮った後でピクチャーコントロールをかけることもできます。ニコンの良いところはピクチャーコントロールを自分で調整したり、適用度を変えられるところです。ピクチャーコントロールはけっこう派手な効果が多いので、適用度を50くらいにすると良い感じになることが多いと思います。この適用度の考え方はCapture Oneのスタイルのレイヤー適用度に近いですね。Capture Oneはこのプリセットをレイヤーとしていくつも同時に重ね掛けし、それぞれ適用度を変えることもできます。NX Studioはこれが一個だけなら可能、という理解です。
そしてイメージングレシピ（いわゆるプリセット）は期待できる面白そうな機能だと思いました。
書き出し、読み込みも可能なので、自分以外の写真家のイメージングレシピを読み込んだり、逆に自分のイメージングレシピを共有することもできるようです。プリセットはフジのフィルムシミュレーションが有名ですが、それをもっと自由に、もっと共有できるのがニコンのイメージングレシピだと思います。あまり注目されていないような気がしますが、これは写真の楽しみの幅を広げる画期的な仕組みだと思います。
ただ難点は今のところZ6Ⅲ、Z50Ⅱのみ対応のようで、これから対応機種が増えることに期待ですね。
Capture OneにできてNX Studioにできないこと
NX Studioは良いRAW現像ソフトですが、とはいえ有料のCapture Oneには敵わない点もあります。Capture OneにできてNX Studioにできないのは、マスク、かすみの除去、フィルムグレイン、レイヤー、AI機能などがあります。これらは色味の調整だけでなく、写真の味付けなどにも使えますので、自分らしさを追求して写真を追い込むにはCapture Oneの方が良いです。
とはいえCapture Oneが5万円くらい、NX Studioが無料なので、もちろん差はあって当たりまえで、むしろ無料でここまでできるなら最初はNX Studioで十分じゃないかと思います。
NX Studioは動きが重い
動作はCapture Oneの方が圧倒的に軽くてサクサク編集できます。NX Studioは動きが遅く、パラメーターを動かしてもすぐにプレビューに反映されません。これはPC環境によると思うので、許容できる動作かは試してみた方が良いです。ちなみに私のPCはCPUはCore i3 8100、メモリ16GB、GPUはGTX1070という構成です。Capture OneはGPUを使うことができますが、NX StudioはGPUが使えないようです。なお、NX StudioはApple siliconにネイティブ対応しているので、M1 Mac以降のMacbook等でも問題なく使えます。
まとめ
ニコン純正のRAW現像ソフトNX StudioとCapture Oneの比較を簡単にまとめました。NX StudioはCapture Oneには及ばないものの、無料であることを考えれば全然アリだと思います。
| NX Studio | Capture One | |
|---|---|---|
| 良いところ | 無料、細かい色調整、プリセット豊富、イメージングレシピに期待 | 細かい色調整、多種多様な編集機能 |
| 悪いところ | 動作が重い、Capture Oneと比べると機能が少ない | 有料 |
本気でがっつりとRAW現像に向き合う人はCapture One（購入はこちら）を買って損は無いです。一方で、とりあえず触ってみよう、という方には無料のNX Studio（ダウンロードはこちら）がおすすめです。
以上、Capture OneユーザーがNikon純正RAW現像ソフトNX Studioを使ってみた感想でした。ご参考になれば幸いです。
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